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第10章 その腕の中で手折られるは一輪の花……

「……我らの盟約の絆を固めるためのおもてなしでございます」

　シヂはそう説明しながら、使節たちの顔色をうかがい、この試みの成功を確信した。

　皆、一様に戸惑いの色を浮かべてはいるが、同時に心の内の劣情を隠しきれずいる。

「どうぞ、ご自由にして頂いてかまわぬのですぞ……お好きな者を……」

「し、しかし、そこなお方は……」

　使節の一人が恐る恐る、目の前で喘ぐ人物の身元を確める。

　王女ティア・リフレイン。

　他の二人、ホビオン族とエルフの女は知らずとも、その名と美貌を知らぬ者はない。自国の国王の名を言えぬ子供でもティアの名は言える。