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ティア・リフレインに捧げる
第10章 その腕の中で手折られるは一輪の花……
「アレイオ……助けて……」
ティアは締め付けられて苦悶しながらも、絶望の中に一筋の光を見出そうとしていた。
アレイオが今ここにいる。
それだけで彼女にとっては希望だった。
そう、この世界でたった一人だけ信じられる存在。
(いつだって、私を助け出してくれる……私だけの……)
地上最強の……
「……勇者アレイオは死んだ。我は、魔王アレイオ。選ばれざる者」
「――望め」
アレイオがティアに問う。
(私の……望み? そ、それは……)
みしみしと、首の骨が軋む。
痛みの中で、意識だけははっきりとあった。
「望め、ティア」
(あ、あ……ああっ! 私の望み……)