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ティア・リフレインに捧げる
第2章 引き裂かれた純白のドレスからのぞく柔肌は……
阿呆のように、もう一度その名を呼ぶ。
今、ようやく、実感が湧いてきた。
これは現実……助け出しに来てくれたのだ。
親衛隊長のアレイオが……私の勇者が。
あの恐ろしい悦楽の地獄から、狂気の魔物の手から!
「まあだあだぜ……この野郎ぉ……」
地獄の底から戻って来たかのようなしわがれた呪いの声。
アレイオの背後で、人間の上半身のないままに、大蜘蛛の下半身のみが立ち上がっていた。
頭部を失ったその胴体には、巨大な、らんらんと輝く赤い眼がふたつ。昆虫のものではない、人間の、瞳のある目だ。
それがアレイオの背に燃える殺意を漲らせて注がれていた。
そしてその眼の下には巨大な裂け目。
ギザギザの尖った乱食い歯には、毒を注入するような機能は備わっていそうに見えない。
ただ獲物に齧りつき、突き刺し、噛み砕き、命を吸い取るためだけに生えているのは明らかだった。
「ブチゴロス!」