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ティア・リフレインに捧げる
第2章 引き裂かれた純白のドレスからのぞく柔肌は……
「クックックッ……。美しいな……姫君よ。何故俺たちがこうやって巣を張るかわかるか? それはまさに、このためなのさ。我々は芸術を愛する一族。捉えられた獲物たちの妖艶に身悶えする様……この耽美が理解できぬクズ共とは一線を画する、魔族の中でも高等な種族なのだ……」
鑑賞者、それは人間の上半身に蜘蛛の胴体をもつ異形の魔物だった。
近頃、地の底より這い出た彼ら魔族は、光あふれる美しき地上の世界を我が物にせんと各地で狼藉を働き、世の平和を乱していた。それは倒されたはずの魔王の復活の予兆と噂され、各国の王たちは対策を練らんとしていた。
共に地上に生きる人々とはいえ、それぞれ利害関係というものがある。まとまるのは簡単な事ではなかった。
そんな中、その清らかな正義を愛する心を誰もが認め、自国のみならず諸外国の民にまで慕われているティア・リフレイン王女が対魔王連合の結束の象徴とされたのは自然な成り行きであった。
しかし、王女の輝ける名の元に諸侯が結集しようとし始めた矢先、魔物によってティアはこの魔窟に連れ去られてしまったのである。