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花びらを散らすのは やめて下さい
第3章 達也君のこと
子供の頃のことを、いくつかお話しようと思います。
あれは確か、幼稚園の頃だったと思います。
斜め向かいの家に、小学五年生の達也君という男の子がいて、私と良く遊んでくれました。
私には4才年上の由紀という、活発で頭が良く、人に好かれる姉がいたのですが、その姉よりも私と一緒に遊びたがるので不思議だな、と思いながら、スポーツ万能でケンカも強い、近所の子達が一目置く達也君が、何かと私の面倒をみてくれることを嬉しく感じていました。
ある日のこと、達也君の家に行くと、おじさんもおばさんも留守で、達也君は私を二階のおじさん達の寝室に連れて行き「面白い本を見つけたんだ。」と言いました。
おじさん達の寝室に入るなんて、後で知れたら叱られるんじゃないかと、内心ヒヤヒヤしながら部屋の中に入ると、達也君は私にベッドに座るように言って、それから私のすぐ横に自分も座って、いつもと違うニヤニヤした表情を浮かべながら、ベッドの下に手を伸ばし、一冊の雑誌を取り出しました。