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堕散る(おちる)
第24章 step24十八段目…春
「おっ…宿の看板がある。」

一本道で迷いようはないのだけど、不安を消し去るようにポツリポツリと宿の看板がある。
あと何キロと表示されているが、明かりもないので見落としそうだった。


「あれだ。」


小さな明かりがあり宿の入口を見つけた。

「余裕で着いたな。」

「だいぶ飛ばしましたからね。」

ハルトは小さなバックだけなのに、アタシの家出カバンを持ってくれた。


駐車場から宿が見えない。
やはり小さな明かりに向かって歩く。辺りは真っ暗だった。

明かりの所まで行くと階段があることがようやくわかった。
案内板からしてこの上に宿があるはずだが、宿そのものの明かりは全く見えなかった。

「ルリ、カバンは俺が持つから、何段あるか数えろよ?」

「へ…」

「階段の数だけお仕置きだ。」

「えっ…」

「家出カバンを持ってきた罰だ。」

「ええっ…
自分で持つから大丈夫です。」

「いやよろけて転んだらやり直しだ。俺が持つから…」

ハルトは意地悪なようで優しい。でも、どんなお仕置きだろう。

「ああ、ハルト…待って…」

「ん…」

置いていかれそうだったけど、また手を差し伸べてくれた。
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