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堕散る(おちる)
第24章 step24十八段目…春
「せっかくだから、猪鹿鳥を制覇しよう。」

「そうですね。」

「ところで花札って何?」

「トランプみたいな日本のカードゲームです。」

「ルリは猪鹿鳥わかるの?」

「花札はやったこともなくて、さっぱりわかりません。」

「じゃあ帰ったら探してみよう。」



「お客様…」

「おぉ、洞窟風呂楽しかったよ。
ルリは明日探検してみな?」

「はい。」

女将さんのことを思ってハルトは大きな声で話していた。

「それは良かったです。ところで…」

「鍾乳洞があって凄かったよ。」

「鍾乳洞ですか?
洞窟風呂でなくて?」

「奥に、立ち入り禁止の札があって…」

「あの…洞窟風呂は当館の自慢の一つですが、鍾乳洞はさすがにございません。
観光名所になってしまいますわ。」

「奥に、いっぱい垂れ下がってたぞ?」

「お客様…見間違いか神隠しに遭われたのでは?」

「神隠し?」

「はい。行方不明になって、見知らぬ場所に突然通じてしまうんですよ。
こんな山里ですからね。

そういうのを神隠しと言うんです。」

ハルトはアタシに同意を求めたいが、混浴したことはおおっぴらに言えずに黙りこむ。

「それでお帰りが遅かったんですね。心配しました。」
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