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堕散る(おちる)
第24章 step24十八段目…春
「山の春って遅いんですね。」

「そうだな。」

連休最終日だからか、人は少ない、大自然を独り占めしたような感覚だった。

「あそこのベンチでお弁当をいただこうか。」

木陰のベンチに腰掛ける。

「あ、草木染めのハンカチ…」

お弁当箱を包んでいるのが染めたハンカチだった。

「見せて?」

ハルトはまだ卵を温めているのでハルトの前に立ってかざす。

「宿の景色を作ったんだ。」

川や竹やぶの様子を描いたものにした。

「わかりますか?」

「うん。ルリに両方預けるよ。お弁当包むのに使って。」

「はい。」

ハルトは卵を箱に入れ、上から手を置いて温めていた。

ハルトのお弁当箱を開け、ハルトのすぐ脇に置く。

「凄いな宿の料理を思い出すなぁ。」

筍ご飯に鶏の照り焼き、だし巻き卵、菜の花のお浸し…その他沢山のおかずが入っていた。

「女将さんが説明してくれそうですね。」

「ああ…」

ハルトは片手で食べているので遅い。

「卵をワタシが温めましょうか?それとも食べさせてあげましょうか?」

「ルリが食べさせて…」

そう言うとハルトは箸を置いて両手で卵を温め始めた。
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