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堕散る(おちる)
第27章 step27 二十一段目…初夏
「お母さん、もうそんなことはいいでしょう?」

暴露話を遮って、
「いただきます。」
とフォークを差した。

「あらあら、いただきます。美味しい…ほんとにふわっと溶けてしまいそうよ。」

ハルトが笑顔を確認してからチョコレートケーキを頬張る。

じっと見ていても何も感想を言ってくれない。

ケーキの中からトロッとしたチョコレートソースが溢れていた。

ハルトがまた一口切り分ける。ワタシはそれを見ていた。

「ん…」

切り分けられたケーキがワタシの口元に差し出される。

母の手前どうしようかと少し迷ったけど、垂れ落ちそうなソースを見て、それを口にした。

「結局全部食べたいんだな。」

ハルトは普段通りに言う。

「まあ、仲がよろしいこと…」

母がチラリとワタシたちを見る。

「お母さんもいかがですか?」

ハルトがもう一口切り分けて母の方に差し出す。

「わ、私は結構です。」

紅い顔をして紅茶を啜っていた。

「とりあえず、他人の恋路を邪魔するのは、なんとかっていうし、
止めたところで止まるものでもないのでしょうから、
認める許すという問題ではないと思うの…」
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