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堕散る(おちる)
第31章 step31 二十五段目…B1階 初仕事
「さあ、どうぞ。」

「いただきます。」

美味しい紅茶をいただいた。

「とても美味しい紅茶ですね。」

「ああ、オレンジペコという名前だ。」

名前…あっ…

ワタシは王様の名前を知らない、自己紹介のようなものがなかった。
さっきのメイド長も名乗らなかった。

「あの失礼ですが、お名前を教えていただけますか?」

「名前?
あいつと違って名前はあるが、名前を知る必要があるか?」

「え?
では何とお呼びすればいいでしょうか。」

「ここに一緒にいるか、君がここから出る時は俺と一緒なんだから、呼ぶ必要はない。
だから名前を教える必要も聞く必要もない。」


「わ、わかりました。」

(どうせすぐに名前も、呼ぶ必要も、なくなるんだ。)

王様が何でそんなことを言うかわからなかった。

名前を教えてくれない。
必要がないなんて…
ワタシ自身が必要ないと言われたようだった。

「昼までは仕事があるからゆっくりしていてくれ。」

そう言われても何もない。王様はライティングデスクに向かってパソコンや電話を始める。

ゆっくりと言っても、何もしないでいるのは退屈だった。
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