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堕散る(おちる)
第31章 step31 二十五段目…B1階 初仕事
2層に分かれていたオレンジと赤が、赤が沈んで混ざっていった。
「綺麗ですね。」
「さあ、ソファーで寛ぎながら飲もう。」
オードブルと飲み物を運んでソファーに腰掛けた。
「乾杯」
薄いグラスがぶつかり、楽器のような澄んだ音色を奏でた。
人の手を介さないでつまみを作り、好きな時に味わうことが、どこか隠れた悪さをしているようで、特別な時間に思えた。
王様も同じように感じているのか、つまみやワインの思い出、旅行した話など、直接的な話でない話をしてくれた。
必要か不要かだけが判断基準な王様を思えば、かなり寛いでいると思った。
「混ぜて飲んでごらん。さっきからカシスかオレンジしか飲んでないよ。」
確かに、上に乗ったカシスかストローでオレンジしか飲んでいない。
細いストローで掻き混ぜていけば、ドロドロとワタシの気持ちのように怪しく混ざり、やがて一色になっていく。
それを口にすればカシスでもオレンジでもない新しい味が甘酸っぱく苦味を帯びて広がった。
ストローを使わずグラスに口をつけてもその味は変わらなかった。
「綺麗ですね。」
「さあ、ソファーで寛ぎながら飲もう。」
オードブルと飲み物を運んでソファーに腰掛けた。
「乾杯」
薄いグラスがぶつかり、楽器のような澄んだ音色を奏でた。
人の手を介さないでつまみを作り、好きな時に味わうことが、どこか隠れた悪さをしているようで、特別な時間に思えた。
王様も同じように感じているのか、つまみやワインの思い出、旅行した話など、直接的な話でない話をしてくれた。
必要か不要かだけが判断基準な王様を思えば、かなり寛いでいると思った。
「混ぜて飲んでごらん。さっきからカシスかオレンジしか飲んでないよ。」
確かに、上に乗ったカシスかストローでオレンジしか飲んでいない。
細いストローで掻き混ぜていけば、ドロドロとワタシの気持ちのように怪しく混ざり、やがて一色になっていく。
それを口にすればカシスでもオレンジでもない新しい味が甘酸っぱく苦味を帯びて広がった。
ストローを使わずグラスに口をつけてもその味は変わらなかった。