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堕散る(おちる)
第31章 step31 二十五段目…B1階 初仕事
やはり王様は触れてこないままだった。

自分からは言い出さないズルいワタシ…
お湯でゴシゴシと顔を洗い王様の影がなくなった脱衣室に出た。

深呼吸をして、用意された服を着て部屋に出る。
やはりメイドを呼んだのか、グラスやお皿は片付けられていた。

「じゃあ、おやすみ。」

「おやすみなさい。」

天蓋のカーテンをめくって、それぞれベッドに入った。

昼寝をしたせいか、悶々としているからか、なかなか寝付けない。
落ち着かずに何度も寝返りをうっていた。

「眠れないのか?」

「はい…なんだか寝付けなくて…」

「こっちにくるか?
眠れるまじないをしてやろう。」

人肌が恋しかった。

「大丈夫だ。何もしないから、こっちにおいで…」

横向きに、昼間見た裸婦画のような体勢で王様が手招きする。

ワタシは自分のベッドを出て、王様のベッドに腰掛けた。

「ほら、腕枕をしてやろう。安眠できるぞ。」

ワタシは吸い寄せられるように王様の隣に横になり、その腕に頭を乗せた。

「ん…慣れたとはいえ、まだまだ緊張しているんだな。」

王様の手がワタシの背中を撫でる。その温もりに負け、自分から王様の胸に顔を埋めた。
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