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堕散る(おちる)
第11章 step11五段目…視覚(4)
しばらく仕事をする。新しい企画を考えていた。


「アタシも起こしてくれればいいのに…」

桜色を身に纏い俺の肩に触れるルリ。

「綺麗だね。ルリ……」

ルリが染まる、纏っている桜はそのうち褪せる、淡い色だからすぐだろう。

でもルリは褪せない。いつまでこの輝きを失わずにいるだろうか…

優しく口づけし、珈琲を頼むと、ルリは身支度をして給湯室に消えた。

コポッ…コポッ…

ルリは明日からのレッスンに耐えられるだろうか…
そんなことを考えていた。




ハルトの店での生活、お弁当の話からわかる家庭の状況、
アタシは、今普通にしているハルトがおやっさんと呼ぶあの人に育てられたのだとつくづく思った。

アタシがハルトの辛い過去を思い出させて苦しめてしまっているのではないか…


そして、ハルトを育てたおやっさんに、また会うことがあれば、お礼がしたい。


ハルトがこれから辛い思いをせず幸せになるために、アタシは何ができるだろうか…

今できることはハルトと一緒にいること、ハルトの側にいれば、ハルトにできることもわかるようになるのではないか…
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