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堕散る(おちる)
第22章 step22十六段目…初冬
ゆっくり優しく抱こうと思っていた。
あまりにも構わなかったら、ルリからキスされた。

未だに遠慮がちなキス。
こんなんじゃない、ルリの唇を舌で開き味わっていく。

寝室でじっくり味わってやろうと立ち上がると、
ルリが突然思い出して料理に取り掛かった。

ビーフシチューのスジ肉がどうとか…

そんなことどうでもいいだろう?

今までなら無理矢理連れていっただろうが、料理に手間が掛かるのも、
それによって仕上がりが変わってしまうのもわかってきた。

ルリから肉とフォークを取り上げてブツブツと刺す。
こうすると味が染みるし柔らかくなるという。

ブツっ…ブツっ

ルリを、盛り上がった雰囲気を奪ったのはコイツだ。

直接対峙できる喜びも含め、憤りを顕にして刺していく。

クソッ…コイツごときにっ…ブツッ…負けたのか…グサッ…


ルリの視線を感じ手を止める。

「十分できました。切って炒めますよ。」


ははん…お前これから八つ裂きと火炙りの刑だってよ。


切られてフライパンに放り込まれるコイツに別れの挨拶をした。

芳ばしい肉の焼ける匂いがしたかと思うと、コイツは沸騰したスープに入れられる。

フフン…更に地獄の釜とは、随分ひどい罰をうけるもんだ。
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