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堕散る(おちる)
第22章 step22十六段目…初冬
コンコン

ノックと共にハルトが自分の席に戻る。

「食後のお茶をお持ちシマシター」

「どうぞー」

ハルトは何事もなかったようにしている。


アタシはタイミングが良すぎて、バレていたのではないかとヒヤヒヤしていた。

「桂花茶、キンモクセイの花だけで出来たお茶です。
美味しいですよー」

高い所から細い滝のように注がれるお茶。
キンモクセイの花が混じって落ちていく。


とても幻想的な感じがした。


「おジョウさんも亀仙ゼリー召し上がりましたかー?」

「は、はい…」

「お肌つやつや、頬も赤くなって、美人さんにナリマシタヨー」


えっ…


「特製タピオカミルクも飲んだからね。」

ハルトがイヤらしい笑みで余計なことを言うから、益々顔が熱くなった。


アタシは俯いて顔があげられなかった。

「では、ごゆくり〜」

「そうだ、タピオカミルクもお土産出来る?」

「はい、レジにありますので」


もう十分食べたのに…

キンモクセイのお茶を飲む。白い茶器に浮かぶキンモクセイが素敵だった。

お茶自体はほんのり淡い黄色で甘い香りが漂う。

味は意外にもさっぱりしていた。

「美味しい。」
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