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背後偏愛サロン
第2章 渇き
 「腰でも痛いか?」
 和真の声に、詩織は跳ねるように振り向いた。
 和真がやや驚いた顔で詩織を見ている。
 「……そんな顔して、かなり痛むのかい?」
 「え……? 全然、そんなのじゃないから……」
 詩織は左手で尻に触れたままだということに気づき、慌てて離した。
 「あんまり我慢しない方がいいよ、腰は。立ちっぱなしも良くないし、ご飯簡単なもので済ませちゃえば?」
 和真はそう言うと、再び手元に目をやって折り紙を続けた。

 詩織は、尻に掛かった夫ではない誰かの精液を、和真に見られた気分だった。
 ――ごめんなさい……
 ――あんなことされるなんて、思ってなかったから……
 しかし、そう思えば思うほど、詩織の尻は熱を帯び、焦らすように何かが身体の芯を撫で回す。

 詩織はシンクの蛇口を上げると、洗剤をつけて左手の手のひらを何度も何度もこすった。
 そして勢いよく流れ出る水で、長い間手のひらをすすぎ続けた。

    ※  ※  ※

 薄暗い灯りの中、寝室のベッドで和真は、詩織の左乳首に長い時間をかけて舌を這わせていた。
 ピチャッ。ピチャッ。ピチャッ。
 詩織の乳首を舐め上げる和真の舌は、ことさら大きな音を立てている。

 ――そろそろ……右……
 和真の舌が、詩織の右の乳首に移った。
 ――そしてもっと……音を大きく立てる……
 和真は、左の乳首を舐めている時よりも一層、舌と唾液を使って大きな音を立てた。

 ――今日は、どんな風に返事しよう……
 詩織は、小さい声で『うん』と言おうか、黙ってうなずくかどちらかにしようと思った。
 「詩織、気持ちいい?」
 和真が聞いてきた。
 詩織は、黙ってうなずくことにした。
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