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背後偏愛サロン
第2章 渇き
 ――やだ……こんな時に何考えてんだろ……
 詩織はふと我に返った。

 いつの間にか、愛海は和真と棚から出した本について語り合っていた。
 どうも数学に関する話をしているようだが、文系の詩織にはほとんど意味が分からない。

 「へー! じゃあアクチュアリーっていうのになると、思いっきり数学で仕事できるの?」
 「もちろん全領域が必要ってわけじゃないけどね。それに仕事だとちゃんと分かるように資料にする力もいるし、口下手だと報告会で説明もできないから、数学一辺倒じゃだめなんだよ」
 「そんなの何とかなるもん。統計を仕事でどう使ってるのか聞かせて!」
 愛海は目を輝かせている。
 和真もいつも以上に饒舌だ。

 和真は、詩織に対してはめったに仕事の話をしない。
 別に和真がそれを隠したり避けたりしているわけではない。普段他のことで十分会話は成り立っているし、詩織も自分たちをコミュニケーション不足の夫婦だとは思っていない。

 それでも詩織は、なんとなく居心地が悪い気がして、静かにひとりで部屋を出て行った。

    ※  ※  ※

 夜中、寝ついてしばらくした後、詩織はトイレに行きたくなり目が覚めた。
 もちろん済ませてから床につくのだが、ほぼ毎晩こうなってしまう。
 詩織は用を足すと、トイレから出てそっと扉を閉めた。

 トイレは廊下に面していて、片側に詩織と和真の寝室、反対側に愛海のいる書斎がある。
 詩織は音を立てずそっと寝室に戻ろうとして、ふと足を止めた。

 声がする。
 かなり小さいが、書斎から聞こえてくる。
 愛海が誰かと電話でもしていて、気をつかって小声で話しているのかと思ったが、どうも様子が違う。
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