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背後偏愛サロン
第2章 渇き
 今日は――
 どこを――
 どんな風に――
 触られるのか――?
 詩織はすでに、身体に触れられることを当たり前のように考えている自分に気づき、震えた。

 やがて、扉が開く音がした。
 今日の『会員』がやってきたようだ。

 ハァ……ハァ……

 静かに、背後の男性の息づかいが響く。
 詩織はもう、濡れているのを自覚した。
 ――うそ……
 ――前も、その前も、こんなこと……
 ――なかったのに……

 ハァ……ハァッ……
 ハァッ……ハァッ……

 近づいてきた『オス』の蒸気はさらに熱くなる。
 背中全体を舐め回されているようだ。
 ――これ……
 ――これ……
 ――あ……ぁ……

 その時、詩織はセミショートのフレアスカートの裾に片手をかけられたのを感じた。
 男性は手早くスカートをコートの裾と一緒に持ち上げた。
 ――あっ……!
 男性の動きに何のためらいもないところが、これまでとは違う。
 やはりメールにひと言添えたためだろうか。

 ――短めのスカート……
 ――似合ってますか……?
 ――欲情しますか……?

 男性の手はあっさりとスカートを一番上までめくり上げた。そしてタイツとショーツ越しに尻をもう一方の手でねっとりと撫で回し始めた。
 男性の汗が繊維を通して尻に染み込んでくるような感覚が襲う。

 ハァ……ハァ……
 ハァ……ハァ……

 今日の『会員』の手は、無骨な感じではないが大きいようだ。
 詩織は、繊細で指の長い手のひらを想像した。
 どんな男性なのだろう?
 ねっとりと撫で回しながらも、どこか荒っぽい落ち着きのなさを感じる。
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