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背後偏愛サロン
第3章 誘い
 呼び鈴の紐も、手錠を掛けられたままでも引っ張れる位置にある。
 男性は詩織を拘束して尻をむき出しにさせた後、長い時間指でなぞってもてあそび、やがて手のひらで叩き始めたのだった。

 尻がじんわりと熱い。
 白くむっちりとした丸みは、真っ赤に染まっているのかもしれない。
 『こんなの、約束と違う』『触れるって行為を超えてる』『怖いから拘束を外して』――今日の詩織の頭には、そんな言葉はみじんもなかった。

 むしろ、もっと欲しい。
 壊れるくらいに。
 いや、壊して欲しい。
 もう、どうなってもいい。
 ――『人形』でいい……
 ――男の人を発情させるだけの『人形』……

 「んぶう……っ……!!」
 また尻肉に衝撃が走る。
 そして全身が小刻みに震える。
 カクカクと痙攣する内ももの上から下へ、すうっ……と詩織の蜜が筋を描いたのが分かった。

 ……ハ……
 ……ハ……

 今日の男性の息づかいは、静かだ。
 よく聞き耳を立てないと聞こえないくらいだ。
 しかし、静かでありながら、これまでの誰よりも熱く感じた。
 一番、強烈な『オス』の情欲を放っているように思えた。

 整髪料とか香水などといった匂いはない。
 多少汗の匂いのような、体臭のようなものを感じる。
 嫌な匂いではない。

 今日の『会員』はどんな男性なのだろう?
 詩織の身体は、どんな『オス』を欲情させているのだろう?
 無骨で荒々しい手から想像すると、筋肉隆々の大柄な男性だろうか?

 強面で、その眼光だけで子宮の芯を射抜くような鋭い目を持っているかもしれない。
 拘束から逃げ出したら、すぐに組み伏せられて、圧倒的な腕力で身体中を蹂躙してくるかもしれない。
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