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背後偏愛サロン
第4章 放ち
 まだ和真が『サロン』のことを知らない以上、これから先、『気づいている』かもしれない愛海と二人きりにさせるわけにはいかない――。
 「ふうん……じゃ電気消しとくね!」
 愛海はそう言うと、濡れた髪をタオルで拭きながら、リビングを出て行った。

 詩織は和真を見た。
 和真は、もくもくと鶴を折り続けていた。

    ※  ※  ※

 翌日の朝、和真が会社に行った後、詩織は風呂に入っていた。
 愛海は相変わらずの朝寝坊で九時を回ってもまだ起きてこない。

 『サロン』で詩織を誘ってきた『会員』へのメールは朝一番に送信した。
 『もっと激しくして欲しいです』――。
 そのひと言も添えた。
 『刺激的な提案』――。
 詩織の頭の片隅には、ずっとその言葉がこびりついていた。
 そして返事が来た。

 指定された場所は、意外な所だった。
 赤坂の高級ホテルだった。
 いつもとは全く毛色の異なる場所だ。
 ホテルの客室で、思う存分詩織の身体を貪る気だろうか?
 まさか、お互い顔も見せ合うことになるのだろうか――?

 それがまた、詩織の期待をあおり、身体をたかぶらせる。
 そうなったとしても構わない――と思っている自分がいる。
 詩織は念入りに、丁寧に、その白い肌を隅々まで洗っていった。

    ※  ※  ※

 風呂から上がると、リビングには愛海がいた。
 シンプルなホワイトシャツと赤のプリーツミニスカート姿で、いつも通りテーブルに取っておいた朝食を勝手に食べている。
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