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背後偏愛サロン
第4章 放ち
 いや、頭だけではない。全身隅々までが熱くなり、徐々に力が抜けてもうろうとしてくる。
 そのくせ男性の指の動きを敏感に感じ取り、身体の内側をザラッとしたものがかきむしる。

 突然、詩織は目を見開いた。
 熱く弾力のある肉の塊が、ショーツをかき分け、花弁に突き刺さってきたのだ。

 「んんんんん……っ……!」
 くわえているハンカチタオルのすき間から思わず詩織の声が漏れる。
 ――ちょ……!
 ――ま、って……!
 ――入れられる……なんて……!
 ――そんな……っ……!

 『サロン』でも挿入されることなどなかったのに、何の前置きもなく――
 しかも公共の場所で、それも男性用トイレで――
 『もっと激しくして欲しい』とは言ったが、挿入を許した覚えはない。
 しかし――
 詩織の心は、とっくにそれを受け入れていた。
 むしろ、どこかで期待さえしていたかもしれない。

 ――こんなところで……
 ――私……
 ――セックスさせられてる……!

 服を着たままでスカートをまくられ、穴を開けられたタイツの間からショーツの股間だけを無理矢理ずらされ、『オス』の力にあふれている荒々しい肉の棒が、詩織の秘壷に押し込まれていく。
 しかも、相手の素性は全く分からない。
 分からないが、相手とは合意の上だという奇妙な状況だ。

 合意の上であっても、公共の場でセックスするなど、詩織には初めてのことだった。
 もちろん、合意というのは正確さを欠く。詩織ははっきりと言葉で挿入を許したわけではないからだ。
 それでも今の詩織は、気持ちの中では、とっくに合意している。許している。
 むしろ、求めている。
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