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背後偏愛サロン
第4章 放ち
 男性の大きな手が、ちょっと力を入れれば砕けてしまいそうな、くびれた腰をつかんできた。
 男性の顔は詩織の首筋のすぐ後ろにあり、獣のような音とねっとり湿った蒸気を浴びせてくる。

 ハアァァッ……!
 ハアッ……!
 ハァァァァアッ……!
 詩織の首筋は震え、ゾゾゾ……とした甘美な蟲が脳天まで駆け上り、全身に鳥肌が立つ。

 もう一度思う。
 合意ではある。
 だが。
 公共の場所。
 素性の分からない相手。
 衣服を破られての挿入。
 ――これはまるで……
 レイプだ。

 ――私私私私私……
 ――今……
 ――犯されてる……っ……!

 男根は詩織のショーツを邪魔者のように押しのけながら、肉壷の壁をえぐり、秘宮の入り口に力強く何度も『オス』の情欲をぶつけてくる。
 相手が誰だか分からないために、余計に男根にだけ意識が集中してしまう。
 後ろに男性はおらず、猛り狂った男根の塊だけがあって、それがひたすら詩織の女体を蹂躙しているような気になってくる。
 一気にしびれてくる下腹の芯は、味わったことのない悦楽の淵へと詩織を追い込む。

 レイプの疑似体験なのか、はたまた本当のレイプなのか、詩織には分からなくなってきた。
 ――どっちでもいい……
 ――たまらない……
 ――すごいっ……!

 『オス』の塊は、長い間、情欲をひたすら抑え込まれることを強要され、ようやくそれを一気に解放されたかのように、詩織の身体を狂おしいほど求めてくる。
 和真はこれを――
 持ち合わせては、いない。
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