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背後偏愛サロン
第1章 とまどい
 これは――
 仲間として迎え入れたという意思表示なのか。
 それとも、もう逃れられないという脅しなのか。
 詩織は、他の写真の人形も、サイトに載っていた女性たちの写真のコーディネートに似ていることに気づいた。

 写真の『詩織』は内股気味の姿勢で、木でできた右手の先を、前からスカートの下の股の間を通して後ろに出している。
 少し突き出している尻は、わざと大きく作られているような気がする。
 精巧に作られているのは服だけなのに、人形はそうではないのに――
 淫靡に見えた。

 全身がかすかにブルッ……と震える。
 怖さからではない。
 下腹の奥底から、じわりとあふれるように広がってきた『しびれ』のせいだと分かった。
 いつの間にか、詩織は魔法で自分を人形に変えられたような気がした。

 ――……?
 なぜか股の間に、まさぐられたような感触が残っている。
 写真の人形に触れられたのか、あるいは自分で触れたのか――
 どちらかの右手の先が、いつの間にかスカートの下から両ももの間に入って――

 詩織は、写真から目をそらせた。
 そして、部屋の一番奥にある扉に目をやった。

 人ひとりがやっと通れるくらいの小さな木の扉だ。
 取り付けられた金属のプレートには『PRIVATE』の文字が彫られている。
 詩織は扉の前までやってくると、ドアノブをつかんでそっと開いた。

 扉の向こうは短い廊下だった。
 突き当たりは壁だ。
 人とすれ違うのも難しそうな狭い通路に、左に二つ、右に一つ木製扉がある。
 扉にはホテルの部屋のように番号の彫られたプレートが付いている。
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