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背後偏愛サロン
第5章 貢ぎ
 手はすぐに愛海の股の間に忍び込んできて、前から後ろ、後ろから前へと、何度も爪を立てた指先を往復させる。
 今まで経験したことのないような、弱く頼りなさげな動きでありながらも確実に下腹の奥の芯をしびれさせる刺激だ。

 「んぁっ……」
 愛海は小さく声を上げた。
 指先から送られてくる一回一回の弱い刺激が、時間が経つにつれ、大きな束になって愛海の腹の中心を突き抜ける。
 ――なんで……?
 ――全然、激しく、されてるわけでもないのに……
 愛海は、これが『大人』の指使いだと思った。
 詩織は――
 いつもこんなことをされていたのだろうか――?

 やがて愛海のひざが、かくっ、かくっ……と震え出した。
 思わず、胸元にある手すりを両手でつかんで身体を支える。
 しばらくして、愛海の股間をもてあそんでいる指が離れていった。

 愛海の上半身を挟むように、左脇から男性の左手が、右脇から男性の右手が伸びてきた。
 男性の右手には革製の手錠が握られている。
 ワイシャツの袖から伸びる手先は、やはり細長い綺麗な指だった。
 この十本の指のうちの一つが、今さっき肌着に包まれた股間の秘唇からじわりと悦楽を送り込んできたのだと思うと、その手がたまらなくいやらしいものに見えた。

 愛海が甲に浮き出る力強い血管に見とれていると、その手は手錠の二つの枷を繋ぐ鎖を手すりに二回巻きつけた。
 そしてその手錠は愛海の両手首にはめられた。
 愛海は手すりに両手をくくりつけられて動けないような形になった。
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