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人魚男子。
第5章 スタンド・バイ・ユー
ちょうどその日、窓から見た空があまりにきれいだったので、王子は散歩に出かけていました。
藍色の髪に深紫の瞳、金色の冠が太陽の光を受けてきらめいています。
「父上も母上も、結婚しろ結婚しろとうるさいし……。二次元のよさがなぜ分からないのだろう。僕がただいま設計中の等身大フィギュアが命を持ったりしたら、生身の女とのことは諦めてくれるのかな」
眉を寄せて何か憂鬱そうに独り言を言いながら、浜辺へやってきました。
「あれ……」
白い浜辺に誰か、気を失って倒れています。
「あれは、僕が制作予定のスーパーブリリアントらみちゃん1/340じゃないか! なぜこんなところに? 設計図から抜け出したのかっ!?」
王子は早口で言って、一糸まとわぬ姿で浜辺に伏せている人物に駆け寄ります。
近くで見ると、閉じられた瞳は涙を含んでいるように美しく、開かせてみたい気持ちが湧いてくるのでした。
「おい! しっかりしろ、らみちゃん! こんなところで砂だらけなんてひどいじゃないか!」
王子に優しく揺さぶられ、気絶していたリアディは意識を取り戻しました。
「……」
ん、と小さく喉を鳴らしたつもりですが、声がまったく出ません。
魔物に犯され続けたせいで、すっかり枯れてしまったのです。
藍色の髪に深紫の瞳、金色の冠が太陽の光を受けてきらめいています。
「父上も母上も、結婚しろ結婚しろとうるさいし……。二次元のよさがなぜ分からないのだろう。僕がただいま設計中の等身大フィギュアが命を持ったりしたら、生身の女とのことは諦めてくれるのかな」
眉を寄せて何か憂鬱そうに独り言を言いながら、浜辺へやってきました。
「あれ……」
白い浜辺に誰か、気を失って倒れています。
「あれは、僕が制作予定のスーパーブリリアントらみちゃん1/340じゃないか! なぜこんなところに? 設計図から抜け出したのかっ!?」
王子は早口で言って、一糸まとわぬ姿で浜辺に伏せている人物に駆け寄ります。
近くで見ると、閉じられた瞳は涙を含んでいるように美しく、開かせてみたい気持ちが湧いてくるのでした。
「おい! しっかりしろ、らみちゃん! こんなところで砂だらけなんてひどいじゃないか!」
王子に優しく揺さぶられ、気絶していたリアディは意識を取り戻しました。
「……」
ん、と小さく喉を鳴らしたつもりですが、声がまったく出ません。
魔物に犯され続けたせいで、すっかり枯れてしまったのです。