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第5章 スタンド・バイ・ユー

　その日から、リアディはお城で暮らし始めました。
　字が書けないため、自分の名前などを伝えることができないので、みんなからは「らみちゃん」と呼ばれることになりました。
　アニメのキャラクターだそうで、リアディはとてもよく似ているようです。
　見せてもらいましたが、偶然にもそれはマーメイドのアニメで、リアディと同じように、人間に恋をして魔法でヒトになった人魚の話でした。
　王子様は「僕の嫁」と言っていましたが、それは本当のお嫁さんのことではなく、単にアニメが好きな人の使う言葉のようです。
　王子様はいわゆる「アニメオタク」で、部屋はアニメグッズで統一されていましたが、リアディはそれでもかまいませんでした。美しいリアディを国王夫妻も気に入り、弟ということにして城に置いてくれたので、いつもそばにいられて幸せだったのです。
声も出なくなってしまったし、歩くと足が痛むのですが、夜は王子といっしょのベッドで眠り、どこに行くにも連れていってもらいました。
　王子はとても無邪気な人で、リアディの恋心にも気づかないようです。
　リアディは、それをいいことに、王子様が眠ってしまった後、こっそりキスをしたり、オカズにして自分を慰めたりしていました。