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その瞳に…
第17章 熱
道路が空いていた為、思ったよりも早く舞奈の家に着いた。

大河のお陰で落ち着いたとは言え、まだ不安が残る舞奈は大河とは離れがたかった。

けれど、これ以上大河に迷惑をかけてはいけないと思い、舞奈はそっと足から手を離し、頑張って笑顔を向けた。

「あの、本当に今日はありがとうございました」

少し、声が震えてしまったが、舞奈は気にせずシート。ベルトを外し、外へ出ようとする。

「舞奈」

ドアノブに手をかけた時、名前を呼ばれ振り向くと、大河が真剣な眼差しで舞奈を見ていた。

「舞奈。我慢しないで全て言いなさい」

その言葉に、舞奈はぷるぷると首を横に振る。

「そんな状態の君を一人になんかさせられないよ…」

その言葉に、舞奈は泣きそうな顔をしながら、首を降り続ける。

頑なな舞奈に、大河はそっと手を重ねる。

「そんなに僕は頼りないかい?」

「ちが…ます」

圧し殺した声で、舞奈はうつ向きながら否定する。

叫びたい気持ちはあるが、大河ばかりに負担をかけたくない舞奈は、必死で口を塞ぐ。

大河は今度は体を乗り出して舞奈を抱き締めた。

「言いなさい。君は僕の大事な恋人なんだよ…」

全身で感じる大河の温もりと、優しい声に舞奈はとうとう気持ちを吐き出した。

「まだ、先生といたいです…一人は恐い…」

絞り出すような声に、大河は優しい瞳で舞奈を見詰めた。

「やっと言ってくれたね…」

そう囁き、舞奈の頬にキスをする。

「先に家に入ってなさい。僕は車を停めてくるから。鍵は閉めるように。また家の前にきたら、電話を鳴らすから」

舞奈はコクンと頷き、車から降りる。

大河は、舞奈が家に入ったのを見届け神社へ車を置きに走った。

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