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ただそこに君がいた
第2章 いつからか


『告白は向こうから…。何度か断ったけど、とりあえず付き合って欲しいって、半ば押し切られた感じで…』


弱々しく白状する一夏の声に、妙な胸騒ぎがした。というか、嫌な予感だ。


『お前…まだちゃんと相手を好きになってなかったとか…そんなんじゃ、ないんだよな?』


答えろ早く…
違うってすぐに否定しろ!


『…許したとかなんとか言ってたな、さっき。それも…向こうの気持ちに追いつかないまま、だったのか…?!』


ビクッと揺れた肩に、オレのまわした腕が強くなった。


『いい人だったの…!優しくて、格好良くて…』

『はあ?!全然いー奴なんかじゃねーよ!本当に優しい奴なら、留守電でそんな話しねぇ!つーか、無理矢理迫ってきた時点でクソでしかねぇ!こんなボロボロになるまでお前を泣かせて…今もそいつは、どっかでのうのうと息吸ってんだろ、許せねぇよ!!』


静かにすすり泣く、一夏の両目を片手で覆って


『…でもな、勘違いすんなよ?そんなのと付き合ってたからって、一夏がどうってことはないんだ。汚されたとか思う必要もない。お前は…お前はなぁ、スゲー綺麗なんだよ…!』


華奢な首筋に落とした唇は、決して。同情のキスなんかじゃなかった。


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