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ただそこに君がいた
第2章 いつからか
『あー、ここ。』
うつ伏せて枕に顔を隠したまま、オレは片腕を上げた。何の反応もない時間がちょっと気になって、思わずチラッと一夏を伺うと
『ここに…いてもいいの?』
やっと。遠慮がちにコロンと転がってきたから、すかさず腕を振り下ろす。
『ひゃっ…!』
『つーかまーえた。』
腕に閉じ込めた一夏と目が合うと、自然と笑いがこみ上げた。
『ふふ…あたし、春季につかまっちゃったの?』
『おー、つかまっちゃったね。
負ーけ。ま〜た一夏ちゃんの負ぁーけー』
『『ぷっ…あはは…』』
重なった笑い声は、まるで遠い日のままで
……大切だった
あの日。
オレの中には確かにあったんだ
紛れもない、一夏への想いが。
お前の中にも、きっとそうだろう?
キミを想う大切なキモチが
確かにそこにはあったんだ─────