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ただそこに君がいた
第2章 いつからか
***

今さらハッキリと思い出せはしないが…
オレ、和田 春季(わだ はるき)の初恋は、幼馴染の桐谷 一夏(きりたに いちか)だったと思う。

桐谷家と和田家は、団地のお向かい。
同い年の一夏とは、幼稚園から義務教育まで、ずっと一緒に育ってきた仲だった。
クラスが同じだったり離れたり。
仲が良かったり悪かったり。
互いに最高に気の合う一面がある一方で、最悪に嫌いな部分とかも持っていて。
それはたぶん、どこにでもあるような普通の関係。

だけど…

高校が別になると、極端に接点は失くなった。
毎朝同じ家から出て、毎晩同じ家に帰ってるはずなのに。昔よく遊びに行ったあの家で、きっとちゃんと生きているんだろうに。
顔をほとんど見かけなくなり、次第に存在さえも覚えていないようになっていった。



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