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第2章 切り離せない過去

「離して…」

「さゆり……」

「ケイスケ…お願い。会社だよ。ここ」

「だから、なんだよ」

「誰かに見られたら、誤解されるって…」

「は？お前、何言ってんの？んなこと、どうでもいいよ。それより、大丈夫か？」

「……うん」

(ケイスケ、どっから聞いてたんだろう)

「コーヒーでも、飲もう」

「ううん。いい…」

「なんかわかんねぇけど、こういう時、一人は、良くねぇよ」

「……うん…ありがとう…でも、大丈夫だから」

「大丈夫じゃないよ。とにかく…えっと…一服いこ」

「本当、平気だから。ごめんね。ありがとう」

「平気じゃねぇよ」

「いいの。ケイスケ…も、ゆうかちゃん、待ってるでしょ？行って…」

「いや。まだ、大丈夫だから。いいよ」

「お願い。ほっといて!!」

「ほっとけねぇよ」

「……なんで……よ」

視界が涙で、滲む

「目の前で泣いてる女いて、ほっとけるかよ。」

「……」

(バカ…)

ケイスケの手が私の頭を胸に寄せた

「気がすむまで、泣いて。泣きつかれたら、送るし、モヤモヤしてんなら、聞くし。……な。」

(暖かい…ケイスケの腕…胸…ケイスケ…優しくしないで…)

「ごめんね…ケイスケ…」

何度、止めようとしても涙は、どこまでも容赦なく涌き出てきて、ケイスケの胸に顔を埋めていた

「やっぱり、龍崎さんだったんだな…」

「うん…」

「辛いよな…」

「……大丈夫」

「噂だから、本当かわかんねぇし、だから、どう。って話でもないんだけどさ。なんか…龍崎さん…離婚する。しない。で、ずっと揉めてるみたいよ…」

「え？」

思わず、胸から顔が離れる

「クスッ(笑)さゆり…泣き顔も可愛いのな。」

ケイスケの顔が、近すぎて、一瞬、俯いた

(イケメン…近すぎ…バカ…)

「パンダ目になってるでしょ…」

「パンダさゆりも、可愛いよ」

「もう！」

笑ってたケイスケが、急にお化けでも察知したかのような顔をした。
ケイスケの視線の先に目をやると、龍崎が立っていた

私もケイスケも咄嗟に体を離した

「金子君…悪いな。なんか痛いとこ、見られちゃったな…」

「あっ。いえ…自分、誰にも言いませんから…」

「あぁ、ありがとう。さゆり？」

「……」

「ごめん。金子君が言う噂、本当なんだよ。それもあって説明が…難しくてな」