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妄想シンドローム
第1章 彼女が○○を目指した理由〈ワケ〉
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「それで彼氏の変態的嗜好を目の当たりにして、幻滅して、俺に泣きついてきたってわけか」
「ちっがーう! 健全な年頃の男子が、エッチなものに興味持つってことくらい、私だって知ってます!」
「八畳はある部屋の一面の本棚全部が官能小説……健全か?」
「真顔で訊かないで!」
十九歳男子が持つ、平均的なエッチグッツの量など杏璃に知る由もないが、春馬の口振りからして異常だというのは察した。
しかしそれはそれ、としてだ。
「……そりゃ驚いたけどさ。でもさ、私は気にしないよって言ったの。ほら、私たちはその……結婚するまでは清い仲でいようって約束してるじゃない?」
「じゃない、と言われても。初耳だし、俺には知ったこっちゃないんだが」
「もー! そうなの! 黙って聞くってことを覚えなさいよ、あんたは!」
再三の確認になるが、春馬は突然の呼び出しを食らい、席についた途端に杏璃が泣きだし、しかも謂われなき糾弾をされる。
はなはだ迷惑な話だ。春馬の眉間のシワは深くなる一方。
だが春馬が閉口したことで、聞いてくれるものだと理解した杏璃は、この後に起こった出来事を回想して聞かせた。
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