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妄想シンドローム
第4章 愚者の後悔
まんざらでもない様子の春馬は口角を上げるが、例の如く極悪な笑みだ。
「で、この後二人はヤルのか?」
「ちょっとー! もう少し情緒ってものを覚えてよねー。結ばれるとか色々あるでしょ」
「お前にだけは言われたかない。エロエロだのヌレヌレだの、処女が使う言葉じゃないな」
「うっさい! 身体は清く、心は汚れまくって小説に邁進するのっ!」
「いい心がけだ。で?」
「ううーん……それ悩んでて。いきなりエッチするってのは、官能小説としてはアリなんだろうけど、総一とルルはどうなのかなーって」
総一は彼女にこっぴどくフラれたばかりだ。……奇しくも杏璃と似たような境遇。
裏切られたというのに捨て台詞まで吐かれ、傷を抉られた。差異があるのは、性的な経験の有無と性別だ。
だが杏璃なら勢いで恋愛関係になっていない相手とセックスをしてしまうだろうか、と考えたとき、相手への申し訳なさと、あとから襲う後悔を理由に至らないはず。
総一も設定上、悪い人間ではない。寧ろ性根の優しい人物だ。
ならば彼もルルを思いやり、一線までは超えないんじゃなかろうか。
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