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妄想シンドローム
第4章 愚者の後悔
「おいおい話そうと思ってたが……人物は今後増えていくんだよな?」
処女のまま儚く命を散らさずに済んだ模様。小説の話題へ戻すのに成功し、ひっそりと撫で下した胸で話す。
「うん。ルルの謎とかを明かしていくにつれて、登場人物は増えていくよ」
「増やしすぎには注意しろ。あと場面ごとに登場させる人物は最高でも三人から四人まで」
「三、四人か……。理由は?」
「お前の地面にめり込むレベルで、それ以上の人数をさばけるのか?」
「あっははー! そゆこと!」
増えれば増えるだけ、技術を要するということか。
「そういうこと。読者に混乱させずに書き分けるのには、かなり書き慣れてないと難しいだろ。しかも下手な……お前レベルが書くと、ほのぼのファミリー劇場みたくなるだろーが」
「そこ、わざわざ私レベルって付け加えなくてもよくないですか?」
「褒めて、調子乗ってるところを叩き潰す。最高に楽しい」
「だからさっき褒めたの!? そんないい顔で楽しいとか言わないでよ」
夕陽が後光のように、春馬の背後に射す。
虐めるのが快感とは、どれだけ性格が悪いんだか。口には出して言えない疑問を、頭の中で転がした。
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