この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
妄想シンドローム
第5章 恋のイベント発生!?
過ごす時間や可愛く思うことイコール好きになるという公式が成立しないとなると、総一だってルルを好きになるとは限らない。
いや、司と総一は違う。
総一は常識人だ。普通に恋愛だってしてきた。
だが司は他人そのものを受け付けない。官能小説を読んで興奮し、性欲を発散させている。
司と総一を同一視するのは違うかもしれないが……どちらも同じ男だ。精神構造的に似通ったものはきっとある。
杏璃はそんな否定と肯定のループに陥ってしまい、それからというものピタリと妄想が止まってしまっていた。
狭いベッドでゴロゴロと転がり、苦悩する杏璃。
「ううう……。総一はルルを好きになるよね? なっちゃうよね? なってくれないと困るんだけどー!」
ちょっとでも冷えた場所を求めて転がるも、体内に溜った熱は放出されてくれない。
脳内にこびりついた司の影も、追い出しても追い出しても厄介なことに出戻ってくるのだ。
「なんで別れてまであいつに悩まされなきゃならないのよ……」
枕に顔を埋めて呟いた声は、霧散せずに布の中へと吸い込まれていった。
.