この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
妄想シンドローム
第5章 恋のイベント発生!?
****
誰もいないリビングのソファーに寝転がり、アイスを片手にテレビを観ていると、テーブルに置いてあったスマホがメールの受信を告げた。
杏璃は苦々しい表情で、アイスを口に咥えて手を伸ばす。
キャンプから帰って以降、司からメールやら電話やらがひっきりなしなのだ。電話は無視してとってはいないが、メールの内容には約束した外出をするぞ、とのこと。
上から目線に白目を剥いて、メールももちろんスルー。
誘ってきているということは杏璃が出した条件の、費用のすべては司持ちを飲んだということなんだろうから、彼の財産を食いつぶすつもりで行ってやろうかとも思った。
けれど杏璃はそれどころではなく、ことごとくスルーを決め込んでいる。
どうせまた司からのお誘い……というか命令口調のメールに違いない。
メールボックスを開くだけ開いて、内容は読まずにポイッと放り投げようと思った矢先。
視界に飛び込んできた文字は『由奈』だった。
「由奈ちゃん!?」
口に入れていた棒アイスをズボッと抜いて飛び上がる。急いで操作して読んでみると、小説の進捗状況を訊ねる旨と、今日暇ならランチでもどうかと書いてある。
杏璃は考えるまでもなく「行く!」と声に出すと同時に同じ内容を送信。
直後に返ってきた由奈のメール。場所やら時間やらをやり取りして、向かった先は例の女の園だった。
.