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妄想シンドローム
第5章 恋のイベント発生!?
杏璃はアイスティーをストローで吸い上げつつ、首を横に振る。
「なんで? だって彼、杏璃に協力するって言ってくれてるんでしょ? 一番身近にいる男で訊きやすそうなのに」
「そうなんだけどね。でも春馬には迷惑かけっぱなしだし、小説の作法のことならともかく、内容は相談しにくいっていうか」
「内容に触れるわけじゃないんだから問題ないって! 男の心理を知るには、男に訊くのがベスト。違う?」
「たしかに」
「それでも杏璃ちゃんの気が引けるって言うなら、何かお礼でもしたら?」
お礼……かぁ。考えたこともなかったが、春馬には何かと世話になっているし、してもいいかもと頷く。
「そうしよっかな」
「そうしな、そうしな! 男なんて使ってなんぼじゃん」
「ゆ……由奈ちゃんって、男の子に辛辣だよね……。トラウマでもあるの?」
「あー……まぁ?」
「え!? 由奈ちゃんもダメ男に引っ掛かったとか?」
「聞きたい?」
含みを持たせる言い方に、杏璃は喉を鳴らしてこくんと頭を動かす。
由奈はフォークを皿に置いて、ペーパーナプキンで口許を拭き、軽く身を乗り出し声を潜めて語りだした。
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