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妄想シンドローム
第5章 恋のイベント発生!?
「遅い遅いと思って来てみれば、何やってるんだ」
杏璃は視界に入っていたので驚かなかったが、暗黒王――春馬を背にしていた司は彼の声に驚いて振り返る。
「いや、その……面倒ごとに巻き込まれた次第でして……」
晴天の空に突如として出現した暗雲のような雰囲気の春馬に、杏璃はしどろもどろだ。
通常なら、助け船が現れたと思いたいところだが、内情を知る彼が余計なことを口走らないかとひやひやもしていて。
春馬の出現は果たして助けの船か泥船か。杏璃の顔が緊張で強張る。
「だ、誰?」
そんな杏璃の心境を露知らず、司が春馬を怪訝に見る。
「俺が誰でもいいが、そっちは……例の変態元カレだろ」
(いきなりですかぁ!?)
止める間もなく爆弾を投下した春馬に杏璃は戦々恐々。司は「なっ!?」と絶句。
「当たりか。朝っぱらから元カノの自宅まで押し掛けたのか? 変態な上にストーカー。どんだけ気持ち悪い属性付ければ気が済むんだか」
「ちょーっ! はっ、はっ、は……春馬! シャラップ! シャラーップ!!」
「お前こそ黙れ。近所迷惑だ」
確かに往来で叫ぶのは近所迷惑だけれども。それよりも春馬の落とした爆弾発言をどうしてくれるのだ。
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