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妄想シンドローム
第5章 恋のイベント発生!?



◇◇◇◇


 ルルが総一の家に来て早三ヶ月。彼女はその間に日常生活に支障をきたさない程度に会話を覚え、家事の手伝いまでこなすようになっていた。


 真っ白な髪から生える耳や、スカートの下で揺れる尻尾がなければ人間の少女と大差ないほどの成長っぷりだ。


 しかしいかんせん、彼女は人間社会には不慣れだ。まだ一人歩きさせるには不安が残り、総一が仕事で家を空けている間は彼女はアパートの部屋で過ごしている。


 だが狭いアパートに籠りきりというのはルルとて退屈だろうし、ストレスも溜まるだろう。こと動物はストレスに弱いと聞く。


 総一は帰宅後に極力外へ連れ出したりはしていたが、そろそろ日中の外出もさせてみようかと考えた。


「ルル。今度のお休み、僕と一緒に出掛けない?」


「ソーイチと?」


「そう。明るい時間にお散歩しようか」


「夜じゃなくてお昼に? いいの!?」


「でもいつも言ってるけど、お外にはルルにとって危険がたくさんあるから。僕から離れたり、耳や尻尾は絶対他の人に見せないこと。約束守れる?」


「ルル、ソーイチとの約束守る!」


 青い瞳を輝かせるルル。よほど外に出たかったことが窺える。


 そうして迎えた土曜日。総一はルルとの約束通り、日の明るい時間帯に彼女を外へと連れ出した。


「うわぁ! うわぁ! 人いっぱいだねぇ」


 目まぐるしく動くルルの視線。近所の商店街に並ぶ店先の商品に興味を示したり、着ぐるみで客を呼び込んでいる人に驚いたり。


 魚屋の前では指を咥えてなかなか動こうとせず総一を困らせたりと、ルルは日中の散歩を満喫していた。






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