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妄想シンドローム
第5章 恋のイベント発生!?




 商店街を一通り見て回り、最初の散歩であまりルルに負担をかけてはと、ルルを帰路へ促す。


「また来る? ソーイチ、ルル楽しかった! また来たい!」


「そっか、そんなに楽しかったなら、明日も買い物がてら来ようか」


「やったぁ!」


 ぴょんぴょんとルルが跳ねる。パーカーの帽子がずれてしまいそうになり、総一は焦る。


「こら、ルル。はしゃぐのは家に着いてからね」


「はぁい。ごめんね、ソーイチ?」


 肩を竦めて首を傾げるルルは、どこからどう見ても人間の少女だ。いや、どこをとってもそこらの同年代に見える少女たちよりも可憐だ。


 総一は己の中に芽生えつつある困った感情を押し殺して、ルルの頭を撫でた。


 自分はルルの飼い主で、精神年齢は幼児に等しい彼女の保護者だ。やましい感情を抱くなんて、きっと間違っている。


 そうやってルルの大胆な行動に、身の内を焼き尽くしそうな思慕や劣情を黙らせてきた。


 そう、今日の今日までは――。




「ルル? ルルじゃないか!」


 覚えのない男の声がルルを呼びかけた次の瞬間、隣を歩いていたルルの姿が見えなくなる。


 総一が咄嗟に振り返ると、ルルが見知らぬ男に腕を掴まれていた。







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