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妄想シンドローム
第5章 恋のイベント発生!?




「ちょっとキミ――」


「テト!」


 総一の声に被さるルルの弾む声。そして息を飲む光景が目の前に広がる。


 ルルとテトと呼ばれた美貌の青年が抱き合い、頬を摺り寄せ合っている。まるで恋人同士を思わせる二人の抱擁に、総一の胸の奥にチリリと痛みが走った。


 呆然となる総一を置き去りにして、ルルとテトは二人の世界を作り出す。


「こんなところで会えるなんて……。元気にしてたか?」


「うん! ルル元気だった!」


「言葉も覚えたみたいだな。ルルは頑張り屋さんだから」


 テトがルルの頭や首筋を撫でると、ルルの喉が鳴る。目を細めてうっとりとして、もっと撫でて欲しいとばかりにルルは白い首筋を晒す。


 総一はハッとなり、ルルの腕を掴む。


「ルル、彼は誰?」


 警戒と敵意を滲ませて、総一はテトを見据える。


 十代後半から二十代前半とおぼしきテトは、ルルに着せているようなパーカーを着て、彼もフードをすっぽりと被っている。


 そこから覗く髪は艶のある黒で、瞳は輝くような金色だ。目鼻立ちはくっきりとし、妬ましいくらいの美貌を備えていた。




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