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妄想シンドローム
第5章 恋のイベント発生!?
「テトはテトだよ?」
ルルからの返答に総一は困惑を浮かべる。
ルルの態度や口ぶり、そしてテトがルルを一目見ただけで彼女を認識したことから、二人は元からの知り合いというのは解る。
だがどこで知り合ったのか――考えるまでもなく総一の家へと来る以前だ。
ルルには謎が多い。猫だった彼女がなぜ人の姿になったのか。総一が電話をした店は一体何なのか。
彼女にそれとなく何度か問うたが、総一を満足させる返答は返ってこなかった。
いつしか総一は知らないままでもいいかと思い始めた。知れば彼女が総一の元を去ってしまうような気がしたから。
知らなければルルとの幸福な生活が続けられる。そう思い始めていた矢先にルルの知り合いが現れ、総一は得も言われぬ焦燥に襲われた。
「と……とにかく帰ろう? もうお散歩の時間は終わりだよ」
「う、うん。でも……」
ルルが躊躇う視線をテトに向けると、彼は総一とは反対側の腕を掴んだ。
「待って。あんた、ルルの飼い主だろ? 少しだけルルと話させてくれないか?」
男らしく野性味のある美貌に懇願を浮かべるテト。
ルルも彼と話したそうにしている。彼女の気持ちを尊重させたい思いもあるが、総一の下した判断は拒絶だった。
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