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妄想シンドローム
第5章 恋のイベント発生!?
「悪いけど出来ない。放してあげてくれないかい?」
何事にも決然とした態度を取れなかった総一が、ルルのこととなると別人のように強引になる。
自分でもそれを感じていた総一は、芽生えていた感情が目を背けられないまで育っていたことを自覚する。
「……解った。ルル、会えてよかった。俺も元気だし、他のみんなも元気にしてる。みんなにもルルが元気そうだったって伝えておくよ」
「そっか! みんな元気。ルル安心! テト、バイバイ!」
存外に名残惜しさはない様子で、ルルはテトに手を振る。
テトが言った“みんな”とは誰のことなのか、気にはなった。おそらくルルと同様にテトも耳や尻尾を生やしている種族なのだ。
これまで考えたことはなかったが、きっとまだ他にもルルの仲間がいるのだろう。
しかしそれなら尚のこと、いつかルルが仲間のところへ帰りたいと言い出すかもしれないという不安が心を掠める。
もし自分がルルの飼い主や保護者などという立場でなく、彼女の恋人になったなら、違ってくるだろうか。
そんな思いに総一は囚われながら、ルルをアパートの部屋へと連れ帰ったのだった。
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