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妄想シンドローム
第6章 水面下の戦い




 杏璃は良くも悪くも純粋だ。でなければ司に何年も騙され続けたりはしない。今日だって取引きを持ち出して呼び出したものの、純粋な杏璃は来ないという選択はしないと思っていた。


 しかし電話の際、おかしな欲目さえ出さなければ、春馬が来ることはなかったのに……。


 司はその顔に笑顔を湛えつつも心では悪態を吐いたのだった。


 それからチケット売り場でも散々な目に遭う。


「俺らの分まで払ってくれるんだって? 悪いな」


 杏璃と自分の分だけ購入しようと財布を取り出したところ、春馬がまったくもって悪びれていない口調で言う。司はそんなことを言った覚えはないと文句を言おうとしたら。


「ほんとにいいのー? 私、自分の分は払うよー」


 と由奈が心底申し訳なさそうに、バッグから財布を出した。


「いいよ、いいよ。ここは僕が出すから」


 染みついた王子様面が憎らしい。考えるより先にこの台詞が口から出てしまっていた。


 大人四人分のチケット代……財布は大打撃だ。


 だが気前が悪いと由奈に思われて誰かに話されでもしたら、せっかく築いてきたイメージが台無しになる。


 司はあくまでも表面上はスマートにチケットを購入し、内心では杏璃を――いや、その背後にいるあの男をどう懲らしめてやろうかと思いを馳せた。







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