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妄想シンドローム
第6章 水面下の戦い
「それが杏璃は、最近彼氏と別れたらしいですよ」
春馬がひどく悲しげな表情をして首を振る。
「まっ! そうだったの……」
「はい。しかもその男からストーカー被害に遭ってるらしくて」
「えぇっ!? 大変じゃないの! 怖いわねぇ」
嫌な予感がひしひしとしてくる。咄嗟に口を挟もうとしたが、春馬の方が一足早く動いた。
「偶然通りかかったら、杏璃から聞いてたそいつの容姿と彼が似てたので、もしやと思って問い詰めてたとこです」
「えっ!? じゃあこのイケメン君がストーカー……?」
疑惑の目が向けられ、春馬への怒りが滾ってくる。
しかし笑みの表情は崩さず、女性に笑いかけた。
「僕がストーカーなんて卑劣な真似するような男に見えますか?」
「やだぁ! 見えないわよぉ! 見えないけど……ねぇ?」
女性が春馬に同意を求める視線を投げる。
「テレビでよく犯罪者の身近な人にインタビューってあるじゃないですか。あれって大抵の場合、あの人がそんなことするなんて……ってのを耳にしません?」
「あー、あるある! じゃあやっぱり……!?」
こんのクソ野郎! とつい罵倒してやりたくなる。
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