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妄想シンドローム
第6章 水面下の戦い


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「ねぇ、そろそろお腹空かない? どこかでお昼食べようよぉ」


 由奈が提案すると、杏璃が元気いっぱいに手を挙げて「さんせー!」と言う。


 司は首の調子が悪いのか、首筋を擦りつつ頷き、春馬は無表情で食べたいのか食べたくないのか解らない反応だ。


 どちらにせよ男共の同意は求めていなかった由奈は、杏璃と腕を組んでフードコートへと足を運ぶ。


 杏璃からSOSのメールが届いた時には何事かと思ったが、わけを聞いてみれば納得だった。


 散々傷付けた相手に、自分を守るために一緒に出掛けようだなんて、本来ならば罵倒と暴行の末に阻止したいところだ。


 しかし一度でも出掛けない限り司が諦めそうにないとこんこんと語る杏璃の話を聞いているうちに、これは協力しなければという気持ちになった。


 司が初め出した条件に二人でというものがあったらしいが、最終的に杏璃が了承した際、二人きりというのは飲んでいないとのこと。


 といっても杏璃自身は会話の内容をあまり覚えていないらしく、春馬がそうだったと言っていたらしい。


 杏璃はたまたま口にしなかったと話していて、だが春馬からたいそう褒められたそうだ。








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