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妄想シンドローム
第6章 水面下の戦い
「あ、ごめんなさ~い。遊園地に来てるのに、まだ記念に写メ撮ってないなーって今気づいたの!」
うふっと笑って注視をやり過ごす。由奈はスマホに収めた画像をちゃっかり保存してから、司に頼んで杏璃とのツーショットも撮ってもらった。
それから和やかとは言えないまでも、剣呑な雰囲気は過ぎ去り食事を終えた。
そしてアトラクションに並ぶ前に、杏璃と連れ立って化粧室へ行く。用を足してから鏡の前で少しだけ彼女と話した。
由奈はさっき撮った写メを杏璃に見せる。
「あ、それさっきのやつだね。うわぁ……。画面から黒いオーラ出てそう」
杏璃は可憐な顔を大いに引き攣らせて、本当にスマホから何か出ているかのように身体を反らす。
「えー、そう? そこがいいんじゃない! ケンカップル的な」
「ケンカップル?」
「うん。春馬くんと司くん見てたらさ、無性にBL魂が疼いちゃって!」
「あ、それで撮ったんだ……」
「司くんは見た目だけなら文句なしにいいじゃない? BL的に言うと、絶対受けって顔してるって思うでしょ!?」
「う……? あ、うん?」
「で! 予想外だったのは、何と言っても春馬くんよぉ!」
話しているうちにだんだんと気分が盛り上がってくる。化粧室にいる他の客は当然思考から消えていた。
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