この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
妄想シンドローム
第1章 彼女が○○を目指した理由〈ワケ〉
冷房を効かせた杏璃の自室もまた、ピンクを基調にした様相だ。だがカフェとは違い、嫌味にならない程度。清楚さをだす白の壁紙が、淡いピンク色のカーテンやベッドのシーツを上品にまとめていた。
その室内には違和感が有りすぎるといって過言ではない、床に広げられる物。
極力それらに視線を向けないように、杏璃は氷が浮かぶ麦茶を春馬に振る舞った。
「ふぅ。染みわたるわねぇ」
場を和ませようと、うふふと笑ってゴクゴク麦茶を喉へ流し込む。
しかし春馬には気遣いは通用せず、無表情で渡されたグラスを口許で傾け、一気に飲み干して一言。
「本題に入るぞ」
床にあぐらをかいた春馬は、杏璃に引導を渡すかの如く、空になったグラスをドンと置く。
「一応訊くけどさ。これ……司への復讐に関係あるんだよね……?」
チラッと見てみるも、直視したくなくてすぐに逸らす。
「当然だろ。じゃあ何のために買い込んだと思ってるんだ」
「や……。春馬もそういう趣味に走ったのかなーなんて」
「アホか。走るとしても、こっそりやるわ」
「や、私に言っちゃってる時点でこっそりじゃないからね?」
「もういい。とにかく説明するから黙ってろ」
どうやら痛いところを突いたらしい。春馬は剣呑さを語気に増して、よく回る杏璃の舌を黙らせた。
.