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妄想シンドローム
第7章 意外な正体
『猫彼女の観察日記』は物語中盤。ここでは官能描写を中心としてストーリー展開をしていた。その中に細かな伏線を張り、終盤に回収させる予定になっている。
しかし杏璃はある問題にぶつかっていた。
「うーん……。ルルの耳や尻尾出しっぱなしって、展開しにくくないかなぁ」
ポテトチップスをパソコンの横に置き、ボリボリと食べながら独りごつ。
時刻は深夜0時を少し回った頃。美容の天敵だと知ってはいるが、執筆作業というのは杏璃の想像以上にエネルギーを消費するらしく、ただ座っているだけだというのに腹が減ったのだ。
ポテトチップスの脇にはチョコレートまで常備して、暗唱出来るくらい何度も自分の文章を読み返す。
すると当初のプロット通りで進めるには、どうにも障害が生じる気がしてくる。
「耳とか出してたらハプニング起こりやすくていいかなって考えたけど……」
安直だったかもしれない。
ルルの服装は常に耳と尻尾を隠すものとして描かなければならないし、設定自体があまり活かされていないようにも思えてきた。
序盤の時点でルルが道端でフードが取れてしまい、ひと騒動あったことは描いたが。だがそれ以降、大した展開を思い付かないまま、中盤まできてしまっていたのだ。
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