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妄想シンドローム
第7章 意外な正体




「プロット変更ありかどうか、明日にでも春馬に相談してみよっと」


 もう粉しか残っていないポテトチップスの袋を掲げ、袋の端を利用して口の中へと流し込む。


 そうして明けた翌日。ちょうど春馬がチェックしにくることになっており、彼を自宅で待っているとスマホがメールの受信を告げ、内容を読んで玄関を開けた。


「いらっしゃーい……ってどうしたの!?」


 春馬の顔を見た瞬間に解るほど、彼の顔色は青ざめていた。


 無表情で感情が解りにくい彼だが、付き合いの長い杏璃にはそこはかとなく疲れ切っているようにも見て取れた。


「いや、何でもない」


 鋭い瞳も覇気がなく、春馬を覗き込む杏璃から視線を逸らす。


「何でもなくはないでしょ。どうする? 調子悪いなら別の日にしてもらってもいいんだけど」


 体調が悪い春馬に杏璃の都合に合わせてもらうのは気が引ける。だが彼は大丈夫だと言い張り、それならばと部屋に上がってもらったが。


「ねぇ、やっぱ変だよ春馬。私と目合わさないし。熱でもある?」


 前回チェックしてもらったところから読んでもらい、まずその部分の合否を率直に意見している最中も、春馬は杏璃の目を見ようとしないのだ。






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